死者の黒魔術とは
死者には自由がありません。
動くことはもちろん、話して何かを伝えることも、耳で聞くことも、目で見ることも、鼻で匂いを嗅ぐこともできません。
まるで死者となったかのごとくターゲットの自由を完全に奪う黒魔術、それは「死者の黒魔術」です。
死者の黒魔術に必要なもの
基本的な死者の黒魔術に必要なものを紹介します。
- 死者の骨
- 死体を焼いた灰
つまり、死者の一部です。
これらをターゲットの周辺に置いたり直接触れさせることで、ターゲットを死者と同化させるのです。
この魔術にかかったターゲットはまるで死者のごとく、動くこと・話すこと・聞くこと・見ること・嗅ぐことなどすべてができない状態へと陥ります。
多くの泥棒が利用した黒魔術
このような、ターゲットの自由を奪い抵抗も何もできない状態へとするという黒魔術は、はるか昔から世界中に存在してきました。
これらの黒魔術を巧みに操っていたのが「泥棒」です。盗みに入る家の住人に気づかれぬよう、死者の黒魔術を利用してきたのです。
この黒魔術に用いたのは死者の身体の一部だけではありません。
現代社会において、遺骨や遺灰を手に入れることのできる機会はあまり多くありません。
墓場の土のような死者の魂の痕跡が移っているものでも同様の効果を得られます。
古代ギリシャの場合
古代ギリシャの泥棒は、火葬場で拾った木片を持って、ターゲットとなる家へと向かいました。
それはまだ火がくすぶっている木切です。
死者の体の一部と同様に、その木片にも死者の魂が乗り移っていると考えられていました。
その木片を身に着けてさえいれば住人はまるで死者のように意識を失い、泥棒は誰にも気付かれることなく盗みには入れたというわけです。
ルテニアの場合
東スラヴ系民族のルテニア人の泥棒は、墓場の土を用いました。
古代ギリシャの場合と同様に、墓場の土にも死者の魂が乗り移っているとされています。
墓場の土をターゲットの家の周りに円を描くように撒きます。
墓場の土に囲まれた家の住人は、墓の中で眠る死者のごとくすべての感覚を奪われ眠り続けます。そのすきに家へ侵入し金品を盗み出しました。
クロアチアの場合
彼らは泥棒に入る前に、まず墓場や遺体安置所へと向かいます。
そこで死者の骨を手に入れてからターゲットの家へ行くのです。
そしてその骨を屋根の上へ投げ、その家の住人が死者のように動かなくなる呪文を唱えます。
その家の住人も番犬も、誰もが泥棒に気付くことなくあたかも死んだかのように眠るのです。
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