天候魔法とは
人々の生活は天候によって大きく左右されます。
特に食料の生産に対する天候の影響は甚大です。
それはいつの時代でもどこの地域でも共通しており、天候を操ることができればと願う人は珍しくありません。
天候魔法を用いると、自在に雨雲を操って大嵐を巻き起こしたり、反対に何ヶ月も雨を降らせないようにして大干ばつを引き起こしたりすることができたと言われています。
もちろん人々を苦しめるために天候魔法を使うという魔法使いばかりではありません。
農作物の不作から人々を救うために天候を操る魔法使いも存在します。
しかし中世ヨーロッパでは、天候不良は黒魔術によるものだと信じられていました。
そこで天候魔法を行ったとされる魔女を血眼になって探し、厳しく糾弾したのです。
天候魔法のやり方
天候魔法のやり方は様々なものがあり、ヨーロッパの魔女裁判の記録に多く残されています。
その一部をご紹介します。
ドイツ西部の魔女裁判記録
ドイツ西部のある村に、周囲から気味悪がられ嫌われていた一人の魔女がいました。
ある日、村人の盛大な結婚式が行われましたが当然その魔女は結婚式に呼ばれることなく、周りがお祭り騒ぎをする中で自分だけが孤独であることに腹を立てました。
人の幸せが憎い、どうにかしてこの結婚式をと魔女は考えました。
そこで魔女は、村を見下ろせる山に登り悪魔を召喚したのです。
魔女は山頂で穴を掘り、そこに自分の尿を入れました。
悪魔はその尿をすくい取り、邪悪な力で大量の雹(ひょう)に変え、村めがけてばら撒いたのです。
雹嵐に襲われた村は結婚式が中止になるだけでなく、家屋が倒壊したり農作物がすべて駄目になるなど、甚大な被害を受けました。
スコットランドの魔女裁判記録
中世から近世のヨーロッパでは、延べ5万人前後の人々が魔女裁判にかけられ処刑されたといわれています。
魔女裁判の中でも最も有名な裁判のうちのひとつが、スコットランドで行われた「ノースベリックの魔女裁判」です。
イングランドの国王とデンマークの女王の結婚の邪魔をするために嵐を引き起こしたとして、とある魔女が裁判にかけられました。
そのとき裁判にかけられた魔女の自白によると、以下の方法で天候を操り嵐を起こしたのです。
- 男性の遺体を用意する。
- 一匹の猫に洗礼を行う。
- 猫の四肢に男性の遺体から切り取った肉片を縫い付ける。
- それを海に投げ入れる。
この不気味な魔術を、100人余りの魔女たちが行ったと言われています。
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