災厄転移の魔術とは
病気や事故、災害や犯罪など、人生には様々な災厄(災難)が待ち構えています。
そういった災厄から逃れることができる魔法が使えるとしたら、それは自分自身にとってはこの上なく幸福な白魔術です。
しかし、その逃れた災厄が自分のかわりに他者にふりかかるとしたらどうでしょうか。
災厄を引き受けることとなった人にとっては、それはまぎれもなく黒魔術といえるでしょう。
つまり災厄転移の魔術は、自分さえ災厄から逃れることができれば良いという自己中心的な魔術なのです。
災厄転移の魔術のやり方
災厄を避けて平穏に暮らしたいというのは、人間にとって当然の願いです。
そのため、災厄から逃れて身を守る魔術は世界中で行われてきました。
自分に降りかかる災厄を他人に移したり時には動物や無機物にさえ移したりと、災厄転移の魔術には様々な方法があります。
特に天然痘やチフスや肺炎といった、人類が昔から戦ってきた病気の治療のためにもこの魔術は使われてきました。
主にヨーロッパで行われてきた方法をお伝えします。
スコットランドの場合
スコットランドのある島では、以下のようにして他人に転移させることで病気を治したと言われています。
- 水を入れたバケツとタオルを用意する。
- その水とタオルを使って、全身をくまなく拭く。
- バケツの水を自分の家の前にまく。
通りかかった人が地面にまかれた水を踏むと、当初病気であった人はたちまち元気になり、水を踏んだ人がかわりに同じ病気を患ったのです。
バケツの水を自分の家の前ではなく、恨みに思う標的の家の前にまくことで、標的をピンポイントで呪うこともできます。
ギリシャの場合
ギリシャでは、蝋人形を使って病気を他者に転移させました。
まず病人の爪を切り、蝋に練り込みます。
そしてその蝋を使って、病気を転移させたい標的に似た蝋人形を作ります。
蝋人形が作れたら、標的の家の敷地内に埋めます。
もちろん蝋人形の存在を標的に知られてはいけません。
するとあっという間に病気は標的へ移ってしまいます。
ドイツの場合
ドイツでは、呪文を書いた紙を使って病気を他人に転移させたと言われています。
コメント