マンドラゴラの窃盗魔法とは
一般的なマンドラゴラ
有名な魔法植物のひとつにマンドラゴラ(マンドレイク)植物があります。
その根は足のように二股に別れており、まるで人間の姿かのような不気味な形をしています。
そしてマンドラゴラを地中から引き抜くと、耳をつんざくような大きな悲鳴をあげ、その声を聞いたものは死に至ると言われています。
マンドラゴラは古くから強大な魔力があると恐れられ、媚薬を始めとした魔法薬の材料にも使われてきました。
一般的にマンドラゴラと言うと、このような植物としてのマンドラゴラを言いますが、窃盗魔法におけるマンドラゴラは植物に限りません。
窃盗魔法におけるマンドラゴラ
南フランス地方では、ネズミやウサギ、リス、ヤギといった小動物である場合もあったと言われています。
植物にしろ動物にしろ、マンドラゴラは強大な魔力を秘めており、マンドラゴラを所有していると他者の富を吸い取り豊かになれると信じられていました。
これが他者の富を奪うマンドラゴラの窃盗魔法です。
マンドラゴラの窃盗魔法の仕組み
マンドラゴラには富を吸い寄せる力があります。
それは無の状態から金を無限に作るというような方法ではありません。
他者が得るはずであった富を、マンドラゴラの所有者が代わりに得ることを可能にするのです。
マンドラゴラの窃盗魔法では、以下のようなものを手に入れることができたと言われています。
- 野菜や果物といった農作物
- 肉や乳製品といった畜産物
- 労働力
マンドラゴラさえ所有していれば、ろくに田畑を耕さなくともたくさんの農作物が収穫できたり、家畜の世話をせずとも次から次へと繁殖してたくさんのミルクや肉を得ることができたり、労働力としての子宝にも恵まれるというわけです。
マンドラゴラの所有者がこれらの富を手に入れどんどん豊かになる一方で、別の家ではどんどん富を失っていきます。
いくら田畑の手入れをしても農作物が実らず、疫病が流行っているわけでもなく家畜は子孫を残すことなく次々と死に、労働力となる子どもにも恵まれないという状況に陥ります。
その家はどんどん貧乏になり最終的には家が途絶えてしまうことになります。
ひとつの村において、多くの家が貧困にあえぐ中で特定の家だけが豊かになると、マンドラゴラを所有する魔女の家だと糾弾されることも珍しくありませんでした。
多くの人々がマンドラゴラを手に入れて豊かになりたいと望む一方で、その富を妬む他の人々によって魔女刈りの標的とされる恐怖とも隣り合わせだったのです。
コメント